【加工】レーザー加工の品質

レーザー加工品質とは?

レーザーに限らず、高精度な加工が要求される場合、その品質が課題となります。切断の精度や寸法精度は、部品の公差やはめあいを正確にし、生産ラインでの手直しや二次加工・追加工をなくすために非常に重要です。特に、レーザーの場合は、熱を使って非接触で加工を行うため、通常の形状転写の機械加工と比べて、精度が悪くなることが多く、その加工評価をしっかりと行うことが重要です。

評価基準

レーザー切断加工の品質を評価するために使用される主な基準は、以下のような項目があります。

■ Kerf(カーフ)

カーフとは、切断面の最も広い部分の幅を表す項目です。切断可能な最小の内部半径や切断幅の指標となります。切断加工は、材料を除去しながら加工を行うため、どうしてもカーフは避けられません。しかし、通常は、カーフをなるべく小さくすることが望まれます。レーザー切断では、CO2レーザーやNd:YAGレーザーなどで加工条件を最適化することで、小さなカーフを実現することもできます。

■ 切断面粗さ

切断面の粗さは、切断面の外観を定義します。つまり、レーザー加工後の機械加工などによる追加工が必要であるかどうかの指標となります。多くの場合、ミクロン単位のRz値(ISO 10点高さ粗さ)やRa値で表現されます。この評価には、表面粗さ計が用いられ、スタイラスで表面をトラバースし、凸凹状態を測定します。CO2レーザーやNd:YAGレーザーなどのプロセスでは、表面をある程度溶解させるため、低い表面粗さ(<50μm)の切断を実現することも可能です。

■ テーパー

端面の直角度は、2つの部品間のはめあいや、切削後の機械加工による追加工が必要かどうかの指標となるため、重要です。この直角からのずれはテーパーと呼ばれ、直角であるべき面間の角度や垂直からのずれを距離で表されます。レーザーエネルギーは通常は空間的にガウス分布しており、また、練酢などで集光するため、加工面に、このテーパーがついてしまうことが多いです。このテーパーが問題となるような加工の場合、加工条件をより精密に調整します。

■ Heat Affected Zone (HAZ)

レーザーによる加工は熱を用いるため、非加工物に熱の影響が発生することがあります。この熱影響のある領域をHeat Affected Zone (HAZ)と呼んでいます。そして、HAZ幅とは、切断端面に垂直に測定された検出可能な微細構造の変化や色の変化の幅と定義されます。HAZの幅が注目されるのは、特性の劣化の可能性があり、製品の最終組立前にこの材料を除去しなければならない場合があるからです。パルス発振のレーザーの方が一般的にこの影響は小さいです。しかし、パルス発振のCO2レーザーやNd:YAGレーザーを用いても、HAZ幅は <0.5mm となります。この幅が問題となる場合には、短パルスレーザーや超短パルスレーザーの検討が必要となります。

■ ドロス

ドロスとは、レーザーによる熱加工で生成される材料に再凝固した物質のことです。通常は、加工裏面に生成されます。ドロスのレベルは、数値化が難しいため客観的な指標はなく、主観的に定性的に表現され、「なし」「軽度」「中度」「重度」などと表現されることが多いです。レーザー切断の場合、切断パラメータが最適化されていれば、ドロスをある程度は低減できます。特に、パルスレーザーの場合は、CWレーザーより小さくできる傾向にあります。

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