【加工】炭酸ガスレーザー

炭酸ガスレーザー(Carbon dioxide laser : CO2レーザー)は、レーザー加工で最も用いられているレーザーの一種です。

概要

レーザー媒質が気体(二酸化炭素)のガスレーザーの一種で、赤外線領域の連続波や高出力のパルス波を得ることができます。ガスレーザーは変換効率が良くない場合が多いですが、この炭酸ガスレーザーは例外的に比較的効率がよく、供給エネルギーに対して15%程度、最高で20%ほどの出力が得られます。

波長としては、9.6μmと10.6μmの2つの波長で発振します。レーザー加工用途では、10.6μmが多用されてきました。しかし、やはり、短波長の方が加工がきれいであることから、9.6μmの波長も見直されています。
出力は数十mWの低出力のものから、数十kWの高出力まで幅広くあります。発振形態としては連続発振や比較的パルス幅の長いパルス発振があります。

構造

構造は、ガラス管に低圧の混合ガスを封入した放電管を共振器として用います。共振器の一端へは高反射率の全反射鏡、反対には半反射鏡を設置し、内部で増幅させます。レーザーの出力がある閾値を越えると半反射鏡側からレーザーが出射されます。
出射されたレーザーは、鏡やレンズなどで伝送され加工点に到達します。

鏡は高反射率とレーザー耐性を得るため銀が蒸着されています。また、レンズはゲルマニウムかセレン化亜鉛が使われます。さらに、高出力が必要な場合は、金の鏡とセレン化亜鉛レンズが使われることもあります。

出力が大きいレーザーでは、発熱を抑えるため水冷式となります。さらに高出力の場合は混合ガスを放電管外へ循環させる外部冷却方式となる場合もあります。

歴史

歴史的には、1964年に米・ベル研究所のチャンドラ·クマール·パテルが発振に成功したのが最初と言われており、その後、技術開発で高出力化と安定化が図られてきました。現在は、レーザー加工用、医療用として広く用いられています。
特に、アクリル樹脂 (PMMA) は赤外線を良く吸収するため、炭酸ガスレーザーを使って加工することが多いです。

技術的にこなれてきており、低コストで製造できることから、中国等のメーカーの台頭が目立っています。

用途

用途としては、加工用が最も多いです。アクリルや木材、紙などを簡単に加工できます。大出力となりますと、金属やセラミックなどを加工する工業用として用いられます。

開発・利用されてきた歴史も長く、信頼性も高いので、広く普及しているレーザーです。

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