レーザーマーキングとは、レーザーを用いて、材料表面に変化を与え、文字、図形、模様などの描画、意匠性の高い印をつけることを言います。レーザーを一点に集光させ、材料に変質・改質を与え、他の部分とは異なる状態とすることで、人の目などに印として認識されるわけです。
レーザーは、基本的には、どんなものにも加工ができますので、様々な材料へのマーキングが行われています。木材や樹脂、金属にも可能です。その用途も様々で製品名・番号や企業のロゴなどを入れたり、製品のトレーサビリティーのためのバーコード、QRコードのようなマーキングもあれば、食品に描画する加飾マーキングもあります。レーザーの重要な応用の一つです。
一般にマーキングは、レーザーマーカーと呼ばれる装置を用いて実施されます。他のレーザー加工装置と同様にレーザー光源からの光をレンズで集光して加工物にマーキングすることが、基本原理です。
レーザーマーカーは、分野を問わず非常に多く普及しており、使われる光源はCO2レーザー(炭酸ガスレーザー)やYAGレーザー、半導体レーザーが使われることが多いです。レーザーマーカー自体は、それほど高価ではないため、こなれた技術の組み合わせで構成されることが多いです。そのため、動作も安定しておりメンテナンスも容易な製品が多いようです。
実際に、マーキングをするためには、レーザースポットを加工物に対して相対的に移動させる必要があります。この方法の一つとしては、レーザー光路の途中に2枚の鏡を置き、その鏡の角度を変更することでスポット位置を変えられるガルバノスキャナの利用があります。この方式では、装置構成が簡単で小型にでき、高速に処理できるというメリットがあります。一方で、加工できる範囲が限られるため、大面積の加工はできません。
また、集光レンズを加工物に対して2次元的に移動させる、いわば、XYプロッターのような方法もあります。構造が簡易であり、走査範囲も比較的広くとることができますので、安価なレーザーマーカーが多く採用しているようです。しかし、装置自体はガルバノスキャナー方式に比べると大きくなってしまいます。また、可動部が多いためメンテナンスの点で面倒です。
レーザーマーカーの装置へ、どのようなマーキングをするのかデータを入力する必要があります。データの形式は、各レーザーマーカーの仕様によりますが、テキストデータや、ラスターデータ、ベクトルデータなど描画データ、もしくは独自のデータ形式があります。レーザーマーカーには、各データを編集できるソフトウエアが付属している場合が多いです。レーザースポットの位置や強さはコンピュータ制御されます。CADデータを読み込み、その経路通りに加工する装置もあります。
加工対象物も多岐にわたります。基本的にレーザーで変色・変質できる物質には広く応用できます。木材へのマーキングや、飲料ボトルパッケージへのバーコード印刷、金属への製造番号マーキング、玩具やお菓子までマーキングしています。
多くのマーキングは材料表面へのマーキングですが、レーザー波長に対して透明な材料へは材料内部へ直接マーキングすることも可能です。例えば、ガラス内部を変質させることで光の透過性を変更させることも可能です。これにより、透明なガラスの内部に文字や絵が浮かんで見えます。このような内部マーキングはゴミ等を嫌う工業用途でも積極的に利用されています。
レーザーでは、他の方式と比べて繊細なマーキングができますので、今後も利用範囲は広まっていくものと思われます。