【加工】レーザーの波長変換

レーザーの特異な特長として、その波長を変換できることがあります。通常は、1つのレーザー媒質から1つの波長の光を取り出せますが、その光を発振後に別の波長に変換できます。

レーザー媒質から出る光は基本波とよばれます。その基本波をそのまま加工に用いることもありますが、それを変換して用いることもあります。特定材料への熱の吸収性や集光特性の点から、波長変換をしてより効率的な加工を求めるのです。通常は、より波長の短い高調波を用います。

例えば、Nd:YAG, Nd3+:YVO4のからの基本波1064nmを変換素子を用いて波長変換し、2倍、3倍の振動数の光を作り出せます。周波数ω(=1/λ)を2倍にした光は第2高調波(SHG:Second Harmonic Generation, 532nm)、3倍にした光は第3高調波(THG:Third Harmonic Generation, 355nm)と呼ばれます。さらに振動数の高い第4高調波(FHG, 266nm)もあります。

この高調波を生み出す原理は、非線形結晶を透過させることで実現しています。

SHGの場合、ω2=ω1+ω1で実現され、9398cm−1+9398cm−1=18796cm−1≃532nmの光となります。

THGの場合、ω3=ω1+ω2で実現され、9398cm−1+18796cm−1=28194cm−1≃355nmの光となります。

FHGの場合、ω4=ω2+ω2ですから、18796cm−1+18796cm−1=37592cm−1≃266nmの光となります。

変換効率の点からみると、変換によって出力は低下します。よって、高調波の方が出力が小さくなります。変換効率の向上も課題となっています。

SHG, THGを発生させる光学素子としては、LBO結晶があります。また、FHGを発生させるには、KTP結晶とCLBO結晶が使われます。

多くのレーザーメーカーから高調波を発生させるレーザー光源が販売されています。波長変換部をモジュール化して光源と一体化したレーザーが多く見られます。

レーザー微細加工では、レーザーの短パルス化の他に、短波長化もトレンドとなっています。SHGやTHGでも出力が大きなレーザーが開発されており、より高速により高品質な加工ができるようになってきています。

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