【加工】レーザー切断加工

レーザーは、様々な用途で産業応用されてきましたが、最も広く普及して、認知されている加工はレーザー切断加工ではないでしょうか?

板金(シートメタル)を機械的な刃物ではなく、レーザーで切断する加工です。板状の金属を所定の大きさ・形状にレーザーで切断します。穴をあけたり、スリットを形成したりもします。

レーザーを用いた板金加工では、プログラムすることで任意の形状を簡単に加工できます。大気中で素早く加工できるため、他の加工方法に比べて自由度が高い利点があります。また、加工機自体も値下がりしていることや、複数の加工を一度に行うなどの工夫で非常にコストメリットがあります。これが板金加工にレーザーを活用する大きなモチベーションとなっています。

板金加工に用いられるレーザーは、CO2レーザー(炭酸ガスレーザー)が主流でした。技術的にもこなれており、大出力が得られたためです。近年は、YAGレーザーやファイバーレーザーの割合が多くなってきているようです。

板金加工の場合、切断面の品質に対する要求があまり厳しくないことや、大出力で高速に切断したいという要望から連続発振するCWレーザーが多いです。しかし、品質を高めるためには、パルスレーザーが良いと思われます。

加工原理としては、他のレーザー加工と同様に、レーザーを被加工部表面に集光させ高いエネルギーを与えることで材料を溶融させて切断します。場合によっては、焦点高さをずらして断面形状を調整することもあります。それから、被加工物に対するレーザー集光点を相対的に移動させると、穴あけや切断などが可能となります。通常はレーザーヘッドが移動します。近年のヘッド移動機構の進歩や、CAD/CAMの発展により、従来に比べてより高精度に高速に切断できるようになってきました。精度としては、0.1mm程度が標準的なようです。

当初の使用レーザーの出力は、1kW程度でした。しかし、近年では、大出力化が進み、10kW以上のレーザーもあります。また、一部で第2高調波を利用した装置もあるようです。

被加工物は、鉄、ステンレス、アルミなどの金属の加工が多いようです。銅は反射率が高すぎてうまく加工できない場合もあります。また、木材、樹脂、セラミックス等の非金属も加工も行われます。

加工中はアシストガスを活用する場合もあります。これにより、加工の促進を図ったり、酸化を防ぎ高品質な加工を実現できます。

これらの技術進歩により、初期の頃は、切断できる材料の厚さはSPCCで数mm厚だったものが、現在では、20mmを超える厚手の材料まで切断できるようになりました。

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