概要
He-Cdレーザーとは、ヘリウムとカドミウムをガスとして用いたガスレーザーの一種です。紫外線(325 nm)や青色光(441.6 nm)を出力することができ、比較的安価でありながら高い出力を持つことから、科学研究や工業分野などで幅広く利用されています。
原理
He-Cdレーザーの原理は、ヘリウムガスを励起させてエネルギーを与え、そのエネルギーをカドミウム蒸気に伝えることでカドミウム原子を励起状態にします。そして、励起されたカドミウム原子が放出する光が共振器内で反射・増幅されることによって、レーザー光を発生させます。
- ヘリウムガスを放電させて励起状態にすることで、ヘリウム原子にエネルギーを与えます。
- 励起されたヘリウム原子が、カドミウム原子と衝突してエネルギーを伝達し、カドミウム原子を励起状態にします。
- 励起されたカドミウム原子は、そのエネルギーを放出するために光を放出します。
- 光が反射鏡の間を通り、同じ波長の光と干渉することで、増幅されます。
- 最終的に、レーザー光が共振器から出射します。
歴史
He-Cdレーザーは、1960年代に開発されたガスレーザーの一種です。当初は、光通信分野において、データ転送用の光源としての利用が期待されましたが、光ファイバーの発明によりその需要は減少しました。その後、分光法や医療機器などの分野で利用されるようになりました。
1967年、アメリカの物理学者であるW・J・アルバースハイマーは、He-Cdレーザーの発光機構を研究し、レーザー光を紫外線領域まで拡張することに成功しました。その後、1970年代には、アメリカやドイツなどでHe-Cdレーザーの商用化が進み、分光法や医療機器などの分野で幅広く利用されるようになりました。