概要
ガルバノスキャナとは、反射鏡を用いてレーザー光を任意の方向に制御し、レーザー光をピンポイントで照射する制御装置のことを指します。レーザー加工やマーキングを行うためのスキャン方法の一つで、高精度なレーザー溶接や切断、穴あけなどが可能となります。
原理
ガルバノスキャナは、通常は対向させた2枚のミラーにてレーザー光を走査します。ミラーには、モーターのような駆動装置がつけられており、軸周りに揺動運動をすることができます。
ミラーの一方をX方向のスキャン、もう一方をY方向のスキャンに使用します。これにより、XY2次元平面内でそれぞれの方向に独立したレーザー光の走査が可能となります。
通常は、fΘレンズと組み合わせて、走査面でフォーカス位置(高さ)が変化しないように工夫されています。
また、従来は、XY2軸のみの走査のガルバノスキャナーでしたが、近年ではZ軸を加えフォーカス位置を動的に変化させるスキャナーもあります。さらに、走査面への入射角度を変化させられるタイプも使われています。
さらに高速化を目指して、ポリゴンミラーによるスキャンも考案されています。この方式では、ガルバノスキャナーよりずっと高速な走査を実現できています。
歴史
ガルバノスキャナは検流計とも呼ばれるガルバノメーターが名前の由来となっています。18世紀、カエルに電気火花を当てて筋肉が痙攣することを発見した、イタリア出身の医師であるルイージ・ガルヴァーニの功績を称えて名付けられました。
応用例
ガルバノスキャナはレーザー光の高精度な制御が可能なため、精密機械や先端技術などで幅広く利用されています。
レーザーマーキングは代表的な用途の一つです。小さな文字や記号も正確かつ鮮明に印字できるだけでなく、インクなどの消耗品の管理も必要がないため、非常に有用な手法となっています。
材料や部品の加工では、ガルバノスキャナを用いることでミクロやナノ単位で対象物に加工を施す微細加工(マイクロマシニング)での応用が盛んです。適切なレーザーと組み合わせることで、高速で高精度な加工を実現できています。