レーザートリマーについて
概要
レーザーを用いて、チップ抵抗の抵抗値を調整することをレーザートリミングと言います。通常、厚膜チップ抵抗器はスクリーン印刷で抵抗をなす各層を形成しています。基盤となるアルミナの上に多くの抵抗体を形成してあり、印刷にバラつきが生じることもあります。このバラつきがそのまま抵抗値のバラつきとなり、製品上、好ましくありません。そこで、レーザーを用いて、不要部分を除去して抵抗値を一定にします。
原理
レーザートリミングではチップ抵抗をひとつひとつ測定しながらレーザーでカットし、狙いの抵抗値にします。レーザートリミングでおこなうのは、レーザーによる除去加工で、付加加工ではありません。そのため、レーザーにより抵抗値をあげることになりますので、チップ抵抗の抵抗値はあらかじめ低めにしておきます。抵抗体をトリミングすることで電流が流れる経路が狭くなり、抵抗値が上昇します。リアルタイムで抵抗値を測定していき、狙いの抵抗値になったところでトリミングを止めることで所定の抵抗値にします。
基本仕様
使用レーザー
- 主にYAGレーザーを用いることが多いようです。
トリミング速度
トリミング速度は、レーザーの走査速度、レーザーパワー、レーザパルス周波数に依存します。これらの特性が高い方が高効率な加工ができますが、熱影響を十分に考慮したパラメータ設定が必要となります。
手法
印刷された抵抗体の抵抗値は、抵抗体の長さに比例し、その幅と膜厚に反比例します。一般的に、幅を細らせることで抵抗値を上げます。幅を細らせる方法として、下記の方法があります。
シングルカット法
抵抗体に切り込みを一本入れる方法です。抵抗率変化が大きい場合には、切り込みが1本でも大きく抵抗値が変化するので、この方法が適しています。
ダブルカット法
切り込みを2本入れる方法です。この手法が微妙な抵抗の調整ができますが、シングルカットに比べて多少時間がかかることになります。
Lカット法
L字形に切り込みを入れる方法です。大きく抵抗値を変化させるときに適した手法です。