概要
レーザーは、様々な項目で分類されます。そのうち、媒質の状態(気体、液体、固体)で分類する方法もあります。ここでは、液体レーザーについて記します。
液体レーザーとは、媒質が液体であるレーザーを指します。
最も有名な液体レーザーは、色素レーザーです。その他、無機液体レーザーやキレートレーザーなどがあります。しかし、実用化されている液体レーザーは、ほぼ色素レーザーです。
利用できる色素溶媒は、非常に多くの種類があります。
その色素レーザーには、溶媒に蛍光色素を分散させて循環する液体レーザーと、高分子に蛍光色素を分散させる高分子色素レーザーという分け方もあります。
この液体レーザーではレーザー媒体を循環することにより、劣化した色素を交換することができます。
構成
代表的な例である素レーザーは、媒質として色素分子を有機溶媒に溶かした有機色素を用いて構成されています。
代表的な媒質は、色素であるローダミン6Gを有機溶媒(アルコール)に溶解させています。
特徴
液体レーザーには、以下のような利点があります。
- 媒質が液体であることにより、任意の大きさの光学的に均一な媒質を低コストで作ることができる。
- 通常は、媒質を循環するため、冷却や劣化した媒質の除去が容易に可能。
- 色素や有機溶媒の成分の濃度や混合比、添加物などの調整が自由にできる。
- 固体レーザーに比べて、活性中心の波度が気体にくらべると高く、小型で高利得・高出力が得られる。
- 波長が可変であり、幅広い波長に対応できる。
一方で、下記のような欠点があります。
- 媒質の寿命が短い。
- 出力が制限される。
歴史
色素レーザーは波長可変レーザーとして最も早く実用化されました。
研究開発用に広く使われ、1970~1990年代にわたって、分光学の発展に大きく寄与したと言われています。
1990年代以降は、Ti:サファイアレーザーや光パラメトリック発振器のような波長可変の固体レーザーが広く利用され、色素レーザーの応用範囲は小さくなってきました。
応用例
- 分光測定・分析
- 超短パルスレーザーの種光源
- ウラン濃縮
- 医療(がん治療)
参考
3分でわかる技術の超キホン レーザの分類(種類)と特徴・用途をミニマム解説!
液体レーザー | オプティペディア – Produced by 光響