【加工】チラー

レーザー、特に高出力レーザーは、多くの電力を消費して発熱します。安定した稼働や長寿命化にはこの発熱を抑える工夫が必要となります。その一旦を担うのが、チラーという装置です。

概要

チラー(Chiller)とは、水などの液体や空気などの気体などを利用して物質や装置の温度をコントロールするための機械を指します。冷蔵を指す「chill」という英単語が語源です。しかし、チラーは温度を一定に保つ(恒温)ことができますので、冷却のみではなく、温度上昇も可能です。
チラーには大きく「空冷式」と「水冷式」の2つの種類があります。

気体を用いる空冷式は、外気、いわゆる空気や特殊なガスを使って温度調節を行います。ファンを用いて強制的に気体を循環させることもあります。常にファンを使うのではなく、温度に合わせてファンの使用を切り替えて温度調節を行います。

水冷式は、水などの液体を循環させることで冷却します。通常の家庭用水道水のみならず、蒸留水、精製水、脱イオン水などが使われます。寒冷地には不凍液、長期使用には防腐剤が添加されることもあります。一方で、アルコール類(エタノール、メタノール)、油類が用いられることがあります。

構成

空冷式は、ヒートシンクなどで熱を逃がすタイプや、それにファンを組み合わせたタイプがあります。一般的に構成が簡単で、低コストを実現できます。しかし、冷却能力がそれほど高くないため、高出力なレーザーには用いられません。

レーザーの冷却には、水冷式が多く用いられます。通常は、水を循環させて、それをファンで冷やす構成が多いです。循環装置や液体が漏れないシールドなどに工夫が必要で、装置が大型化しやすいです。しかし、冷却能力が非常に高く、高出力レーザーでは、ほとんどが水冷式が用いられます。

応用例

レーザーには、必須ともいえるのがチラーです。多くのメーカーから販売されており、技術的にも安定していると言えます。

その他の応用例としては、冷蔵庫などの冷却設備があります。連続的に恒温状態を保つために技術的には様々な工夫が必要ですが、家庭用としても用いられるほど安定して稼働できるようになっています。

その他には、MRIにヘリウム冷凍機が搭載されている場合、ヘリウムガスを冷却するためにチラーが用いられます。MRIは診察を行わないときでも停止することができないため、チラーによる冷却で連続運転を可能となっています。

参照

チラーとはどういうもの?原理や仕組みを解説
チラー(chiller)とは
チラーって何?冷蔵庫・冷凍庫の仕組みと原理を解説

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